「親から引き継いだ空き家を解体したいけれど、費用が重い」
「北九州市に、空き家の解体で使える補助金はないだろうか。あるなら、対象か確かめて申請したい」
そんな思いでこの記事にたどり着いた方へ。
チェック!
先にお答えすると、北九州市には空き家の解体費用を補助する「老朽空き家等除却促進事業」があります。
補助額は、除却費用の3分の1以内・1棟あたり上限30万円です。
ただし、どんな空き家でも使えるわけではありません。
「市場流通が困難」かつ「一定の危険度がある」と市が判定した空き家が対象で、しかも申請の順番を一つ間違えると、対象の家でも一円も受け取れません。
この記事は、「自分の空き家は対象になりそうか」をその場でチェックでき、「対象なら、どういう順番で何を提出すれば申請が完了するか」まで、迷わず進められるように整理しました。
読み終えたときには、次に何をすればいいかがはっきりしているはずです。
※本記事は北九州市の公表情報(2026年6月時点)にもとづきます。補助金は年度によって要件・上限・受付期間が変わるため、申請前に必ず北九州市の最新情報もご確認ください。
全国展開中!
解体工事なら「ハコと手」へ
“壊す”ではなく、”家送り”という選択。
「信頼できる業者にお願いしたい」
「しつこい営業されたくない…」
そんな方にこそおすすめなのが「家送りハコと手」
ためしに一度、無料見積もりをしてみてください♪
目次
この補助金でいくら戻るのか
まず、一番気になる「いくら戻るのか」から整理します。
北九州市の老朽空き家等除却促進事業は、危険な空き家の解体費用の一部を補助する制度です。
補助額は「実費」と「基準額」の低い方で決まる
補助額は、次の2つを比べて低いほうの金額をもとに計算されます。
- 除却に要した額:解体業者との契約金額(家財道具の処分費等は除く・税抜)
- 市が定める基準額:面積基準単価 × 延床面積(課税床面積)
このうち低いほうの額の3分の1以内が補助され、1棟あたり上限30万円です。
「実費」と「基準額」、必ず低いほうが使われる、と覚えておいてください。
基準額の計算に使う単価と具体例
市が定める基準額は、解体の方法によって単価が変わります。
- 重機解体:1平方メートルあたり 15,000円
- 手壊し解体:1平方メートルあたり 24,000円
たとえば、重機解体で延床面積が80平方メートルの場合。
基準額は 15,000円 × 80 = 120万円です。
実際の解体契約額がこれより高ければ、120万円のほうを基準に3分の1(40万円)を計算し、上限30万円が適用されて30万円が補助額になります。
逆に、実際の契約額のほうが低ければ、そちらを基準に計算されます。
上限30万円をどう捉えるか
正直にお伝えすると、上限30万円は解体費の全額をまかなう金額ではありません。
木造戸建てでも、解体には百万円単位の費用がかかることが多いためです。
とはいえ、30万円が戻るかどうかは家計にとって大きな差です。
そしてこの制度は「自力では手が出しにくい危険な空き家を、安全に片付けるきっかけになる」という点に、本当の価値があります。
金額だけでなく、その後押しとして捉えると判断しやすくなります。
あなたの空き家は対象になるか【セルフチェック】
補助額の次は「自分の空き家は対象なのか」です。
ここが最重要です。まずはご自宅の状況を確認してみてください。
対象になるための2つの条件
北九州市の補助対象になるのは、昭和56年5月以前に建築された空き家で、次の2つをどちらも満たすものです。
条件1:市場での流通可能性
「市場流通が困難」と判定されること。
つまり、売ろうにも売りにくい状態です。たとえば、次のような場合が当てはまります。
- 建築基準法上の道路に接しておらず、再建築ができない
- 階段からしかアクセスできない敷地である
- 敷地内の土間などに地盤沈下が視認できる
条件2:危険度
「一定の危険度が認められる」こと。
つまり、倒壊や部材落下のおそれがある状態です。たとえば、次のような場合です。
- 基礎の相当部分が破断している、数か所破損している
- 屋根に剥落・ずれ・変形がある
かんたんセルフチェック
以下に多く当てはまるほど、対象になる可能性が高いと考えられます。
(あくまで目安です。最終的な判定は市が行います)
- 建物は昭和56年5月以前に建てられた
- 前面の道路が狭い、または接道していない
- 再建築が難しい、売却しづらいと感じている
- 基礎や外壁にひび割れ・破損がある
- 屋根が剥がれている・ずれている・変形している
- 空き家であり、居住していない
「判定」を受けないと対象かどうかは確定しない
ここが大切なポイントです。
対象かどうかは、自己判断では決まりません。
市に「判定依頼申出書」を提出し、市が現況をもとに判定して初めて確定します。
なお、判定の結果、補助対象外となった場合は補助金の申請はできませんが、代わりに空き家の流通や活用に向けた支援を受けられます。
「対象外=何もしてもらえない」ではない、という点は知っておくと安心です。
申請の全体像を分かりやすく解説
対象になりそうだと分かったら、次は「どういう順番で進むのか」を頭に入れましょう。
北九州市の制度は、判定を受けてから申請するという二段構えが特徴です。
申請から受け取りまでの8ステップ
全体の流れは、次のとおりです。
- 判定依頼申出書を提出する(解体着手前)
- 市が「市場流通可能性」と「危険度」を判定し、結果を通知する
- 補助対象と通知された場合のみ、補助金交付申請をする
- 補助金交付決定通知書を受け取る
- 解体工事に着手する(※決定通知の受領後)
- 除却完了報告書を提出する
- 補助金額確定通知書を受け取る
- 補助金を請求し、受け取る
なぜ二段構えなのかというと、いきなり「解体費を補助します」ではなく、先に判定を挟むことで「本当に市場で売りにくく、かつ危険な空き家」に絞って支援するためです。
だからこそ、判定を飛ばして解体だけ進めても、補助は受けられません。
「決定通知の前に着工しない」が絶対原則
流れの中で最も事故が多いのが、4番と5番の間です。
補助金交付決定通知書を受け取る前に解体に着手すると、補助金は交付されません。
業者の段取りがついて「今週なら入れます」と言われても、決定通知が届くまでは着工しない。
この一点さえ守れば、順番でのつまずきはほぼ防げます。
STEP1|判定依頼で必要な書類と出し方
ここからは各ステップを具体的に見ていきます。
まずは入口の「判定依頼申出」です。
判定依頼に必要な書類
判定依頼申出書に加えて、次の書類を添えて提出します。
- 判定依頼申出書(様式第1号)……市のサイト・窓口で入手できます
- 位置図……空き家の場所が分かるもの
- 空き家の外観写真……建物の全景と前面道路の状況が分かるもの
- 固定資産税納税通知書(最新分)のコピー……表紙と課税明細書部分
固定資産税納税通知書がない場合は、土地・家屋の登記事項証明書、または固定資産課税台帳記載事項証明書(建築年が分かるもの)のコピーで代えられます。
借地の場合は、借地契約書等のコピーも必要です。
提出方法は3通り
- 窓口へ持参……北九州市役所 都市戦略局 空き家活用推進課(本庁舎13階)
- 郵送……同課「老朽空き家等除却促進事業担当」宛
- 電子申出……市の申請フォームから(申出期間内のみ)
書類に不備や不足があると、受け付けてもらえません。
特に外観写真は「全景」と「前面道路」の両方が要る点を忘れがちです。
撮影のときに意識しておくと、二度手間を防げます。
STEP2〜4|判定から交付決定までの進み方
判定依頼を出したあとの流れです。
判定では何を見られるのか
市は提出書類と現況をもとに、「市場での流通可能性」と「危険度」を判定し、結果を通知します。
判定にあたって、市や市が業務委託する法人から、問い合わせが入ることがあります。
補助対象と通知されたら、その年度内に申請する
判定の結果、補助対象である旨の通知を受けた場合のみ、補助金交付申請が可能です。
この交付申請は、通知を受けた年度内に行う必要があります。
年度をまたいで放置すると、申請のタイミングを逃すおそれがあるため、注意してください。
交付申請から交付決定まで
補助金交付申請書を受理すると、申請者と解体業者について、暴力団排除の取り組みのため、県警への照会が行われます。
市が申請内容を審査し、交付を決定すると「補助金交付決定通知書」が郵送されます。
この通知書が届いてから、はじめて解体工事に着手できます。
STEP5〜8|着工から補助金受け取りまで
交付決定通知を受け取ったあとの流れです。
ここまで来れば、順番でのつまずきはほぼありません。ただし、期限の管理が重要になります。
着工後に守るべき2つの期限
- 除却完了報告書の提出……解体工事完了の翌日から20日以内、または当該年度の2月10日の、いずれか早い日まで
- 補助金の請求手続き……当該年度の3月10日まで
特に注意したいのが請求の期限です。
当該年度の3月10日までに補助金の請求手続きが完了しないと、補助金は交付されません。
年度末は書類のやり取りが立て込みやすいので、余裕を持って進めましょう。
補助金の請求と受け取り方
除却完了報告書を提出すると、市の審査を経て「補助金額確定通知書」が郵送されます。
これを受け取ったら、速やかに補助金請求書と必要書類を提出します。
請求には、解体業者へ工事費用を支払ったことが分かる領収書等が必要です。
なお、振込先は、補助事業者本人名義の口座に限られます。
費用の立て替えが不安なら「代理受領制度」
「補助金が入るまで、いったん全額を自分で立て替えるのが不安」という方のために、代理受領制度があります。
これは、解体業者が補助事業者の委任を受けて、補助金を代理で受け取る仕組みです。
この制度を使うと、補助事業者は工事費と補助金の差額分だけを準備すればよくなり、当初の資金負担が軽くなります。
利用には、補助事業者と解体業者の双方の合意と、必要書類の提出が必要です。
申請でつまずきやすい落とし穴
順番と期限を押さえたうえで、さらに気をつけたい点をまとめます。
ここを知っているかどうかで、申請の成否が分かれます。
受付期間と予算枠に注意
令和8年度は、判定依頼申出書・補助金交付申請書ともに4月20日から受付開始でした。
締切は、判定依頼申出書が12月21日、補助金交付申請書が12月28日とされています。
ただし、予算枠に到達した時点で受付終了です。
年度途中で予算に達した場合は、危険度の高いものから優先的に交付される仕組み(月単位の締め切り)になっています。
「年度末まで大丈夫」と構えず、対象になりそうなら早めに動くのが得策です。
なお、本年度以前に判定を受けていた方も、あらためて判定依頼申出書の提出が必要です。
家財道具の処分費は補助の対象外
補助額の計算の基礎は、あくまで解体工事の契約金額です。
家財道具の処分費等は除かれます。
- 補助の計算に入るもの……建物本体の解体工事費、基礎撤去・整地など解体に伴う費用
- 補助の計算に入らないもの……家財道具・残置物の処分費、家具・家電の運搬・処分費
空き家には、前の住人の家財が残っていることが多いものです。
その処分費は別枠の費用になるため、総額を見積もるときは、この分を忘れずに計上しておきましょう。
申請後に内容が変わったら、必ず事前連絡
補助金交付申請後に、解体業者の変更や契約金額の増減など、内容の変更が生じる場合があります。
その場合は、必ず事前に市へ連絡する必要があります。
必要な手続きをせずに工事を進めると、補助金が交付されないことがあります。
【見積書の見方】補助金だけで判断しない
補助金は、費用の一部を補うものです。
だからこそ、補助金の有無とは別に「解体そのものにいくらかかるのか」を正しくつかんでおくことが、後悔しない判断につながります。
見積書に「入っていない費用」を見抜く
解体で最もトラブルになりやすいのが、着工後に判明する追加費用です。
代表的なものを挙げます。
- 地中埋設物(古い基礎・ガラ・浄化槽など)……掘って初めて分かることが多い
- アスベスト含有建材……事前調査で判明し、除去費用が加わる
- 残置物・家財……量を見誤ると膨らむ
- 前面道路が狭い……重機が入れず手壊しが増え、工期も延びる
「地中から何か出たら追加」とだけ書かれた見積りと、「出た場合はこの単価で算定します」と明記された見積りとでは、契約後の安心感がまるで違います。
契約前に、この一点は必ず確認しておきましょう。
アスベストの事前調査は今はほぼ必須
現在、石綿(アスベスト)の事前調査は、法律上ほぼすべての解体工事で必要になっています。
見積書にアスベスト調査の項目が一切ないとしたら、その理由は契約前に確認しておいたほうが安心です。
相続がからむ場合に整理しておきたいこと
空き家の解体は、相続とセットになることがほとんどです。
申請をスムーズに進めるために、先に整理しておきたい点があります。
申請者は誰になるのか
補助対象者は、老朽空き家等の所有者またはその相続人、あるいはその同意を得た方とされています。
相続が済んでいない、相続人が複数いる、という場合は、誰が申請者として窓口になるのかを決めておく必要があります。
書類集めは早めに動く
判定依頼や交付申請には、納税通知書や登記関係の書類が必要です。
相続がからむと、書類の所在確認から始まることも少なくありません。
慌てて決める必要はありませんが、書類集めだけは早めに手をつけておくと、受付期間に間に合わせやすくなります。
ご家族で「解体には賛成だが、誰が進めるか決まっていない」という状態は、よくあることです。
判断材料を揃えたうえで、ご家族が納得できるタイミングで進めて構いません。
【重要】解体して終わりにしない
空き家を解体すると、更地になった土地をどうするかという、次の課題が生まれます。
ここまで見据えておくと、解体の判断そのものがぶれにくくなります。
更地にすると固定資産税は変わることがある
住宅が建っている土地には、固定資産税の負担を軽くする特例が適用されています。
建物を解体して更地にすると、この特例の対象から外れ、土地の固定資産税の負担が変わる場合があります。
解体の時期を考えるときは、この税負担の変化も踏まえておくと、いつ壊すのが無理がないかを判断しやすくなります。
売る・貸す・使う、それぞれの入り口
更地にしたあとの選択肢は、ひとつではありません。
- 売却する……管理の負担を手放したい方に
- 駐車場などで活用する……手放さず収益化を考えたい方に
- 建て替える……その土地に住み続ける・戻る予定がある方に
解体して更地にしたら終わり、ではありません。
その土地をこの先どうしたいのかまで考えておくことが、「家送り」という言葉に込めた責任だと考えています。
よくあるご質問
補助額・対象について
補助金の上限30万円で、解体費用は全部まかなえますか?
▶多くの場合、まかなえません。
この補助は除却費用の3分の1以内・上限30万円で、費用の一部を補う制度です。
総額を先に把握し、そこから補助額を差し引いて考えるのが現実的です。
家財道具の処分費も補助の対象になりますか?
▶対象になりません。
補助額の計算の基礎は解体工事の契約金額で、家財道具の処分費等は除かれます。
残置物がある場合は、別途費用として見込んでください。
昭和56年6月以降に建てた家は対象外ですか?
▶原則として、対象になるのは昭和56年5月以前に建築された老朽空き家です。
それ以降の建物は、対象要件に該当しない可能性が高くなります。詳しくは市にご確認ください。
自分で「対象になる」と判断して、いきなり申請できますか?
▶できません。
まず判定依頼申出書を提出し、市が「市場流通可能性」と「危険度」を判定します。
補助対象と通知された場合のみ、交付申請が可能です。
申請の手順について
申請の一番のポイントは何ですか?
▶「判定→交付申請→交付決定→着工」の順番を守ることです。
特に、補助金交付決定通知書を受け取る前に解体に着手すると、補助金は交付されません。
過去に判定を受けたことがあれば、もう一度受けなくていいですか?
▶あらためて判定依頼申出書の提出が必要です。
本年度以前に判定されていた方も、再度の申し出が求められています。
申請してから解体まで、どのくらいかかりますか?
▶判定、交付申請、交付決定という段階を踏むため、一定の期間がかかります。
予算枠に達すると受付終了となるため、対象になりそうなら早めに動くことをおすすめします。
費用をいったん全額立て替えるのが不安です。
▶代理受領制度を使うと、解体業者が補助金を代理で受け取り、補助事業者は工事費と補助金の差額分だけを準備すればよくなります。
利用には、双方の合意と書類提出が必要です。
工事・法令について
アスベストの調査は必要ですか?
▶現在、石綿の事前調査は、ほぼすべての解体工事で必要になっています。
見積りに調査の項目があるか、契約前に確認しておくと安心です。
残置物は自分で片付けないといけませんか?
▶必須ではありません。
ただし残置物の処分費は補助の計算に入らないため、自分で片付けるか業者に依頼するかを含めて、費用の見込みを立てておくとよいでしょう。
解体後について
解体後、建物滅失登記は必要ですか?
▶建物を解体したら、法務局への建物滅失登記が必要になります。あわせて確認しておきましょう。
更地にすると固定資産税は上がりますか?
▶住宅用地の特例から外れることで、土地の固定資産税の負担が変わる場合があります。
解体の時期を考えるうえで、踏まえておくと安心です。
まとめ|この順番どおりに進めれば申請は完了する
北九州市の老朽空き家等除却促進事業について、要点を振り返ります。
記事の要点
- 補助額は、除却費用と市の基準額の低い方の3分の1以内・上限30万円
- 対象は、原則昭和56年5月以前建築で、市場流通が困難かつ一定の危険度があると市が判定した空き家
- 対象かどうかは自己判断できず、判定依頼申出書の提出→市の判定で確定する
- 手順は判定→交付申請→交付決定→着工→完了報告→請求。決定通知の前に着工すると補助はゼロ
- 予算枠到達で受付終了、家財処分費は対象外、費用の立て替えが不安なら代理受領制度
迷ったら、この一文だけ覚えて帰ってください
進め方をひとことで言えば、こうです。
まず判定依頼を出す。対象と通知が来たら申請し、交付決定の通知を待ってから着工する。
この順番さえ守れば、申請でつまずくことはほぼありません。
補助金は費用の一部を補うものです。
だからこそ、解体そのものの総額を正確につかみ、追加費用まで見えている見積りで判断することが、後悔しない第一歩になります。
急いで決める必要はありません。
判断材料を揃えて、ご家族が納得できるタイミングで進めてください。